The Threads of My Name    ~ truth, hope and... ~

The days of weaving a tapestry with my feathers

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歩く ② -cosmos-

夜道は、開放的な気持ちがした。

自由な香りがした。

どこまでも行けそうな気がした。


怖いという気持ちには、同時にこんなものも含まれていたんや。


そして、明らかにゴールがあるということこそが、

自由の正体なんかな。

温かいお風呂や、ふかふかのお布団があって、

「今日なー、あんなところから歩いて帰ってきてんでー」と言える、

家族が居ることこそが。


足がまるで棒みたいで、踏み出すたびに足の裏はビリビリ痺れてきた。

『なんでこんなことになってるんやろう?』

と、面白いほど全く訳が分からなかった。


それでも、

きっと昼間に見ても真っ黒な川を渡り、

まっすぐに続く、夜を歩いた。


気が付くと、うっすら見たことのある景色が広がっていた。

自転車で来たことのある、商店街やお店。


歓喜の嵐やった。

夜空に舞い上がった。

最近では久しく味わったことのない、喜びやった。


タクシーのことは、もう1ミリも考えてなかった。



もう、タクシーはいらない


私が、タクシーやった


もうずっと前から、乗っていたんやった



こんなことが、電車の窓から眺めていた日常のすぐ隣に並走していたなんて!

私の足が、こんなところまで連れてきてくれるなんて!

足を前に出し続けただけやったのに。

そんなささやかな行為が、これ程あらゆるものを次々と私の前に呈示してくれるなんて!


動いたら、辿り着くんや。

何があっても、諦めないで、一歩を踏み出せば。


真夜中に、にやにやした女がひとり歩いていた。


家に着く一歩手前で、

いつも駅に苦行僧のように体を90度に折り曲げてじっとしている、

浮浪者のおっちゃんとすれ違った。

夜道で。

ふたりっきりで。

そのおっちゃんのことは、なぜか家族みんなで気にかけていて、

私も駅で見かけるたびに、『今日も生きてはるわ。』 と安心したりした。

なぜかおっちゃんは、くるりと振り返り、私を見た。

何の隔たりもなく、初めて目が合ったような気がした。


真っ黒なおっちゃんは、駅とは反対の方向へと、

やっぱり背中を90度に曲げて、また歩き始めた。

おっちゃんのゴールは、どこなん?



私のゴールは、もう目前。

でも、またすぐにスタートになる。着いてしまったら。

そして、また、歩き出すんやろう。

促されるように。


毎日、絶対に帰る我が家。

何万回も見た家が、何だか夢のようにそこにあった。

まるで、目に見えない膜が何か神聖なものを包み込んでいるかのように、

ひっそりと、愛する人たちを守っているようやった。


辿り着いてしまった。

本当に、辿り着いてしまった。

あんなところから。


すげー・・・



世界は、

ひょっとしたらちっとも窮屈なんかじゃないかも知れないと思えるような、


すげー夜でした。














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